静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター センター長 特任教授 特任教授 中村順行

静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター センター長 特任教授 特任教授 中村順行

静岡県立大学 食品栄養環境科学研究院 茶学総合研究センター センター長 特任教授 中村順行
静岡県島田市川根町生まれ。岩手大学農学研究科修士課程修了後、静岡県に奉職。以来30年間にわたりチャの育種分野を中心に研究を行い、数々の品種育成に携わる。退職後は茶学総合研究センターのセンター長として、幅広く活躍している。

茶の実の持っている可能性について

まだまだ研究は始まったばかり、未知の部分が多くこれからどんどん研究されて色々分かってくると思う。
油の組成は、チャもツバキ科であるため、一番似ているのはやはりツバキの油。
でも、まだまだ細かい分析はされていない。お茶は品種によっても、種子のオイルの組成が違うはず。
オイルの組成が違えば、差別性、特異性、利用の仕方も変える事ができる。
これからどんどん研究していきたい。

茶の実の持っている可能性について

放任茶園の今後の活用方法
静岡の茶園・里山を守るために出来る事は・・・

放任茶園の今後の活用方法 静岡の茶園 里山を守るために出来る事

放任茶園を何とかしなければいけない。
放任されている茶園があると、景観だけでなくイノシシやけものの住処になり、農作物などへの鳥獣被害も多く里山に住みにくくなる。
地域の活性化のためには、これまでの里山のように共存できるようにすることも大切。

放任茶樹を抜いて、落葉樹を植えることも良いが、その手間を考えるのであれば、茶の木を再活用し、茶の実生産茶園として、そこから少しでも収入を得る方が良い。

そのためには、茶の実の需要をさらに創出し,価格も高くしていくことも重要。
茶の実生産茶園として少し手間暇をかけ、茶の実を10月から12月に取る事で、収入に繋げる仕組み作りも大切。
茶の実が1Kg1000円程度なら、現在の茶園は300坪で12~13万円しか収入にならない場所も多いから、茶の実を120kg収穫できれば生産費をほとんどかけないで茶葉と同じ収入になる。茶の実生産茶園では、一人作業も可能で、軽労働のため、放任茶園の再生にもつながりやすく、次世代に茶畑を繋げていくことができるのではないか。

放棄茶園から茶の実生産茶園に再生する手順

一般茶園
一般茶園

一般茶園

放任茶園(放棄茶園)。一、二年で瞬く間に藪状となり放棄してしまう
放任茶園(放棄茶園)。一、二年で瞬く間に藪状となり放棄してしまう

放任茶園(放棄茶園)。一、二年で瞬く間に藪状となり放棄してしまう

茶の実生産茶園に再生。茶の実生産茶園は、個々の茶樹が十分に太陽を浴び、訪花昆虫がどの茶花にも均一に受粉でき、果実や種子を採取しやすいように、一株仕立てとするのが適当です。
茶の実生産茶園に再生。茶の実生産茶園は、個々の茶樹が十分に太陽を浴び、訪花昆虫がどの茶花にも均一に受粉でき、果実や種子を採取しやすいように、一株仕立てとするのが適当です。

茶の実生産茶園に再生。茶の実生産茶園は、個々の茶樹が十分に太陽を浴び、訪花昆虫がどの茶花にも均一に受粉でき、果実や種子を採取しやすいように、一株仕立てとするのが適当です。

今後の未来

今後の未来

放任茶園を茶の実生産茶園に変えていく事で、景観も良くなり、茶の実の活用も考えられ、美しき里山の保全にもつながる。
機械化が可能な茶園では一番茶・二番茶を収穫し、傾斜地や小区画の放任茶園は茶の実生産茶園に切り替える。お茶の実の生産は農福連携をしやすい素材でもある。また、高齢者にとっても収入の得やすい作業でもある。
春にはお茶を摘み、秋には陽だまりの中で茶の実を拾う。お茶の新芽や花の香りを楽しむ、そんな時間を持ってほしい。